第9回・完 Reconciliationの力

情けは人のためならず 2009年,ちくま新書『雇用はなぜ壊れたのか-会社の論理vs.労働者の論理』を上梓した。同業者の一部からは良い評価をいただいたし,大学の学部のゼミでも使っていたが,残念ながら売れ行きが伸びず,数年前に絶版となった。 リーマンシ…

書籍化のお知らせ

弘文堂編集部です。いつも本連載をお読みくださり、ありがとうございます。 このたび、本連載の一部をもとにした『AI時代の働き方と法―2035年の労働法を考える』刊行が決定いたしました! 『AI時代の働き方と法―2035年の労働法を考える』大内伸哉/著 【内容…

第8回 闘うのはいつだ!

サボる権利? 小林多喜二の『蟹工船』*1では,洋上の船(博光丸)という閉鎖的な状況で,「糞壺」に閉じ込められ,家畜以下の生活を送っていた労働者(漁夫たち)が,仕事を手抜きしてサボるということを覚え,その後に全面的なストライキに至る様子が活写さ…

第7回 あるがままに

Godの思し召し 楽観主義は英語で「optimism」だが,この言葉だけをみていると,語源はわかりにくい。イタリア語で,「この白トリフは絶品だね」と言うときの「絶品だ」は「ottimo(オッティモ)」*1(「ottimo」の語源はラテン語の「optimus」)。「optimism…

『最新重要判例200 労働法<第4版>』刊行のお知らせ

弘文堂編集部です。いつも本連載をお読みくださり、ありがとうございます。 このたび、大内伸哉/著『最新重要判例200 労働法<第4版>』刊行が決定いたしました。 ◆労働法を理解するために必要十分な201判例を単独著者が厳選。 受験生・社労士・企業担当者に最…

第6回  ルビコン越え

見たいものしか見えない 厚生労働省が「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」という懇談会を立ち上げた。「懇談会」というと,学校の先生とPTAとの保護者懇談会をすぐ思いつくが,Wikipediaをみると,第2の意味があって,「中央省庁等の行政庁に設け…

第5回 AI(人工知能)にAI(愛)されたいですか?

宇宙人 ピンクレディの「UFO」という大ヒット曲がある(作詞は阿久悠)。1978年のレコード大賞曲である。当時私は,中学3年生だったが,長らく,この曲について大きな勘違いをしていた。あの歌は,宇宙人と恋した地球人女性に関するSF的なストーリーだと思っ…

第4回  論理はロンリー

記憶 講演などで多くの人の前で話をするとき,何年も前から原稿を作らないようにしている。使うとしてもレジュメか,最近ならパワーポイントだけだ。原稿を読んでしまうと,それに頼ってしまい,どうしても早口になってしまう。また,聴衆の顔を見ないように…

第3回  頼りになるのは?

Amazonからの便り 誰かが名簿を売ったのだろう。研究室にマンション投資の勧誘の電話が,よくかかってくる(かつては自宅にかかってくることもあった)。こんな電話で,仕事の邪魔をされるのは迷惑千万だ。最初の数語で勧誘の電話とわかるので,すぐに切って…

第2回 家政婦から見た!

安倍首相と平塚雷鳥 安倍晋三首相が,雇用政策のなかで,とくに力を入れているようにみえるのが,女性の登用である。今回の国会では,先日,「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(女性活躍推進法)という法律も成立した。 今日では,男女の共…

第1回 人間のほうがいいです?

AIBOからPepperへ あなたは犬派ですか,猫派ですか,と聞かれることがある。ペットとして,どちらが好きかという質問だ。「どちらも好きではありません」というと,あきれた顔をされ,「動物は嫌いなんです」と釈明すると,とんでもない冷酷な人と言わんばか…

「絶望と希望の労働革命-仕事が変わる,なくなる」の連載にあたって

1枚の紙を折って,月にまで届かせることができるか。月までの距離は,約38万kmである。かりに紙の厚さが0.1mmだとすると,気の遠くなりそうな回数折らなければならないように思える。しかし実は42回折るだけで届く(折ることができれば,ということだが)。2…

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